契りのかたに君を想ふ





松平「おぉ、近藤か!待っていたぞ。お前、何故早く通さなかった?」



門番「それが…近藤が怪しい者を連れてきていたので…」



絵美「(コイツ…)胡桃沢 と申します。決して怪しい者ではありません」




松平「知っているだろうが、松平容保だ。近藤が連れて来た者だ。警戒する必要はないだろう。入れ」





絵美「っ!ありがとうございます!!」




こんなにアッサリ入れるならもっと早く出て来いよ!!!




なんて事を思っていたなんて口が裂けても言えない。




ーーーーーーーーーーーーーーーー






松平「胡桃沢、笠を取ったらどうだ」




絵美「…………松平公、きっと驚かれますよ?」




松平「構わん」




絵美「…………近藤さん、良いですか?」




近藤「………外しなさい」




絵美「………初めに言っておきますが、私は純粋の日本人です」





そう言うと私は笠を取った。





松平「何とっっっ!!!!黄金色の髪…。もしやお前は異じn…」




絵美「日本人です」




松平「しかしそんな髪色の日本人はおらん!」





絵美「はぁ…。説明しますから松平公と近藤さん以外は部屋から出てください」





松平「聞いただろう。お前等は出ろ」




松平公が言うと周りの家臣達は困惑しながらも退室した。




松平「それで、お前は何者だ」




絵美「私は…… 未来から来ました…」




松平「…………何寝ぼけたことを…」




絵美「事実です。未来では髪に薬を塗れば好きな色に変えられるんです」




松平「そんなの信じられるか!」




まぁ、当然の反応なんだろうけど理解して貰えない事にイライラする!!!




絵美「なら…、今から松平公が近藤さんに伝える内容を答えましょうか!?」




松平「ふんっ。分かるわけなかろう」





絵美「分かりますよ。芹沢一派の粛清ですよね?」




松平「……っっっ!!何故それを!!」




絵美「だから、未来から来たからですよ」





松平「嫌…しかし……何故……」




絵美「私にも…分かりません」





松平「そうか……。非常に信じ難いが……信じよう」




絵美「ありがとうございます!!」




私は三つ指ついて丁寧に頭を下げた。




松平「それでなんだが……近藤、先程胡桃沢が言っていた通り芹沢一派の粛清を命ずる」




絵美「芹沢さんは壬生浪士組に必要です!!」




松平「何故だ。壬生浪士組は京の治安維持の為にある。なのに芹沢は民から金を巻き上げ、店を燃やし、遊女の髪を切る。あの男が何故必要なんだ?」




絵美「金策なら近藤さん達も……ムグッ…」




松平「何だ?」




近藤「な、何でもございませんよ!」



絵美「(はぁ…。近藤さんってば…しょうがないな……)芹沢さんは……いつも浪士組の事を考えています。芹沢さんがあんなに暴れてしまう時はお酒が入った時だけなんです!普段は凄く優しくて、八木邸の子供達に竹とんぼを作って遊んであげたり、時々稽古に顔を出しては隊士達の指導に当たったり……。常に横暴な訳じゃないんです。芹沢さんがいるから今の浪士組がいます。彼がいなければ今後壬生浪士組は泥沼です」




松平「……だが、京都守護職に当たるには民からの信頼も必要だ。今の壬生浪士組に欠けているのはそこなんだよ。芹沢がいては信頼を得られない」




絵美「そんなの……やってみなきゃ分かりませんよ!もう少し時間があれば芹沢さんも変われます!」




松平「時間なら今まで沢山あっただろう。もう…時間切れだ」




絵美「……そん…な……」





< 40 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop