契りのかたに君を想ふ
その後、絵美の説得虚しく芹沢暗殺は決定事項となった。
私に…歴史を変える力なんてないのね。
近藤「まぁ、絵美は良く頑張ったさ!松平公にあそこまでハッキリと言えるなんて凄い 事だぞ!俺なんて初めて会った時は緊張して松平公のお話に相槌を返すだけで精一杯だったさ!」
絵美「……そうですか…」
近藤「……………………」
絵美「……………………」
そのまま屯所まではずっと無言だった。
絵美「私は前川邸なので…。近藤さん、今日はありがとうございました…」
近藤「……いや、絵美もよく頑張った。ゆっくり休みなさい」
絵美「はい……」
…………………………………………
芹沢「胡桃沢、こんな時間までどこへ行っていたんだ。稽古もまともにやってないだろう」
絵美「すいません……、近藤さんと出かけていました……。明日からまた稽古をお願いします。おやすみなさい」
芹沢「おい、夕餉はいらんのか」
絵美「いりません。失礼します」
芹沢「……………………」
………………………………………
なにも考えたくなくて部屋に入るとすぐに布団に潜り込んだ。
「絵美、入りよるよ」
スッ
返事も聞かずに襖を開けたのはお梅さんだった。
梅「どないしたの?そへんな暗い顔して。芹沢はんが心配しとったわよ」
絵美「……何もないです。ただ、疲れちゃって……」
梅「嘘つき。まぁ、言いにくいことなら無理に言わなくてもええけど…。へんどなら寝やす。すんまへんどしたなぁ、急に来ちゃって」
私が素直に言わなかったことが不満だったのが少し嫌味ったらしく言ったお梅さん。
でもこればかりは言うわけにはいかない。
ごめんね、お梅さん。
絵美「ううん…。お休み、お梅さん…」