契りのかたに君を想ふ




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夜、煌びやかな花街に姿を現したのは壬生浪士組。



これから何が起こるかなんて知らない隊士達はお酒を飲みまくり馬鹿騒ぎしていた。




隊士「胡桃沢さんよお…、今日は随分とめかしこんでるなあ…ヒック…」




絵美「鬱陶しい。どっか行ってください」




絵美に絡みつく者も多くいた。



絵美「芹沢さん、お酌します」




芹沢「……ん」




ズイ、とお猪口を差し出された。




絵美「……芹沢さんは、実際どっちなんですか?佐幕か…、尊王攘夷か………」




未来では尊王攘夷の志を持ち、新政府軍と文を交換していると最近になって囁かれ始めているが実のところどう思っているのか。




芹沢「儂は……、そんなのどうでも良い」




絵美「……………どうでも…良い……?」




芹沢「我々は京都守護職。天皇も将軍も儂等の頭に代わりわない」




絵美「そっか……、そうですね。そう言う斬新な考え方も良いのかもしれないですね」




芹沢「お前の時代に武士はいるか?」




絵美「……………」




何て…答えれば良いの?




武士に、未来に武士はいませんって言っていいものなの?




絵美「武士は……、私の時代にいません」




芹沢「そうか…」




私がこの数秒の間に悩みまくって正直に答えたが芹沢は大してダメージを受けた様子もなかった。




芹沢「お前、想い人はいるのか?」






ブーーーーーーーーッ!!!




突然何を抜かす、此奴は!!!!




思わずお茶吹いたじゃねえか!!!




絵美「いませんけど…、何ですか急に……」




芹沢「お前、このままだと行き遅れるぞ」





絵美「あのですねぇ!私の時代では三十路過ぎて結婚する人だって沢山いるんです!私なんてまだまだそんな事している歳じゃありません!」




芹沢「郷に入れば郷に従えと言うように…」




絵美「突然激動の時代に飛ばされてまだこの時代の事なんも知らないんです!そんな事よりもやらなきゃいけないことが私には沢山ありますし…」




芹沢「……………そうか…」





絵美「………ところで…、お梅さんは来ないんですか?」




芹沢「あぁ、疲れているらしい」




絵美「そっか…」




芹沢「お前から梅を出掛けに誘うなんて珍しいな。雨でも降るんじゃないか?」




絵美「は、ははは。嫌だなあ〜」






歴史通り進むのならそうですよ、芹沢さん。




これから土砂降りになります。




雲も分厚くなってきた。





動いている芹沢さんを見るのはもう…あと少し……。




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