契りのかたに君を想ふ
スパンッ
永倉「お帰りぃ〜」
絵美「ただいま…」
私は部屋に入りお水を一口飲むと、さっき芹沢さんから貰った手紙が目に入った。
絵美「どっちから読もう…」
斎藤「それは何だ?」
絵美「芹沢さんとお梅さんからの文」
斎藤「…読まないのか?」
絵美「読むけど…どっちから読もうかなって……」
まず芹沢さんの文を開いた。
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胡桃沢、お前は初めにあった頃より大分強くなった。
もちろん剣術だけでなく心もだ。
お前との出会いは隊士共から醜いイジメとやらを受けていた時だな。
最初は黄金色の髪に興味が湧き側に置いた。
だが、段々お前と過ごしていくうちに放っておけなくなった。
剣術の稽古をしている時の表情や梅と話す表情、何もないところで転び大泣きしていた表情、沢山の表情を見た。
そう言えば船から落ちたこともあったな。
あの時は久しぶりに腹の底から笑った。
そしていつの間にかお前への愛情が湧いてきたんだ。
家族というものを持ったらこうなるのか、とな。
儂等はまだ出会って数月だと言うのに何故だかもっと前から知っていたような感覚に陥っている。
何故だろうな。
儂はお前より先に逝く。
だから儂のことなど早く忘れて前へ進むのだ。
お前のことだから暫くは飯が喉を通らなくなるだろう。
沢山食べて、沢山寝て、沢山笑え。
そして長く生きろ。
前にお前は、お前にしか出来ないことをすると言ったな?
約束しろ、必ず日本を統一するんだ。
誰にも出来ないことをやれ。
やり続けろ。
胡桃沢…いや、絵美。
幸せになれ。
壬生浪士組 筆頭局長 芹沢鴨
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ポロポロポロポロ
絵美「幸せに…なれ…って……統一っ…しろって……、何で…見届けてくれないの…っ!バカッ!バカバカバカッ!芹沢さんの…バカッ…。バカだよ…っ……」
永・斎・藤「………………」
永倉「ほ、ほら!泣いてねえでお梅さんのも読んでみろ」
絵美「…う…ん……」