契りのかたに君を想ふ




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チュンチュン チュンチュン




絵美「ん……」



斎藤「目が覚めたか」




絵美「一、おはよう」




斎藤「あぁ」



昨日あのまま縁側で寝ちゃったんだ。



バサッ



絵美「ん?一が布団掛けてくれたの?」



斎藤「違う。局長だ」



絵美「え…」



斎藤「昨日、山崎と話していただろう。あのまま寝たお前に風邪を引いたら可哀想だと言って局長が掛けてくれたんだ」



絵美「そっか……。フフフ、何か嬉しい。一!朝餉、何食べたい?」




斎藤「何でも良い」




絵美「それが一番困るんだけど…」




斎藤「……豆腐」





絵美「え?」




斎藤「高野豆腐が食べたい」




絵美「分かった!高野豆腐ね!美味しいの作るから期待しててね!」




斎藤「あぁ」




そう言ってスキップをしながら炊事場まで行く絵美を斎藤が微笑みながら見ていたことは誰も知らない。






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絵美「ほら朝だよ起きてーーーー!」





藤堂「絵美うるさい…」




絵美「あっそ。平助は朝餉なしね」




ガバッ




藤堂「おはようございます!!」




絵美「はい、おはよう。良い?十数えるうちに全員布団を片付けなかった朝餉は目刺し一匹だけだから!行くよー!」





原・永「目刺しだけは嫌だ!!!!!!」





それから沖田、藤堂、永倉、原田は目にも留まらぬ速さで布団を片付けてしまった。





絵美「はい、よく出来ました!広間早く来てねー!」





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スパンッ




絵美「近藤さん!早く起きてー!」




近藤「おぉ絵美か……、絵美っっっ!!!」





絵美「良い?今から五つ数えるからその間に布団を片付けないと今日の朝餉は目刺し一匹だけだか…」




私が言い終わる前に近藤さんは俊足で布団を片してしまった。




ちぇ、皆んなつまんない。




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in 広間




絵美「一、どおどお?美味しい?」




斎藤「(コクリ)」




絵美「やったー!」




原田「どうしたんだ絵美?随分とご機嫌じゃねえか?」



沖田「何か良い事でもあったんですか?」




絵美「え…?何もないよ?」



土方「大体昨日まではあんなにキレてたじゃねえか」





絵美「あー、私一回寝たら忘れる主義だから」




山南「悩みが無さそうで何よりです」




馬鹿にされた感が満載だけどここは抑えよう。




何たって仏の山南さんだもの。




耐えろ、私。




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