契りのかたに君を想ふ







絵美「土方さん、ご馳走様でした!久しぶりのお蕎麦とても美味しかったです!!」




土方「おう」




絵美「あーぁ、あと2日かあ。ここにいられるのも。寂しいな」




土方「じゃあ行かなきゃ良いだろう」




絵美「それはダメですよ!もう行くって決めたんです。もう今更引き返せません」




そう言うと土方に強く抱きしめられた。




絵美「ぎゃっ。土方さん苦しい…」




土方「お前は…黙って俺等に着いて来い。ここから出ていくなんざ…切腹もんだぞ……」




絵美「…………土方さん、」




私はゆっくり土方の腕から抜け出すと笑顔で言った。




絵美「何も一生会えないわけじゃないんですから。それに私に二条城の生活は長い間耐えられません。すぐ戻ってきますよ!」




土方「そうか、そうだよな。悪かった」





それからはお互い無言で屯所まで帰って行った。




ーーーーーーーーーーーーー





スパンッ



沖田「あー!絵美さん今までどこ行ってたんですかー!?土方さんがカンカンに怒ってましたよー!」




絵美「その土方さんとお蕎麦食べに行ってたんですよ」




斎藤「副長と蕎麦を…(羨ましい)」




永倉「土方さんが蕎麦をねぇ…。珍しい事もあるもんだ」




絵美「私、ちょっと厠行ってくるね」




スパンッ




絵美が向かったのは厠ではなく縁側。




ここは絵美のお気に入りスポット。




絵美「はぁ…」



行きたくない。



『お前は…黙って俺等に着いて来い。ここから出ていくなんざ…切腹もんだぞ……』




そんな事言われたら…余計に行きたくなくなるじゃん……。




絵美「やるべき事だけやってすぐに帰って来よう」




新撰組と離れるなんて無理だもん。




「こんなところで何やってんだ?」




絵美「左之…、お風呂入ってたの?」




原田「おう」




うわ、何だろう。




お風呂上がりだからなのか色気が半端ない。




鼻血が……。




原田「なぁ、お前明日暇?」




絵美「私?暇だけど…」




原田「じゃあ出掛けねえ?」




絵美「良いの?」




原田「おう!俺、明日非番だからよ!朝餉終わって直ぐに行こうぜ。うるせぇのが来る前に!」




絵美「うん!」




原田「よし、そろそろ寝るか」




絵美「そうだね」





二条城へ行く日が近づくにつれて、ここから離れたくない気持ちもどんどん増して行く。




私の選択は間違ってないよね?





< 65 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop