契りのかたに君を想ふ







絵美「ふんっふんふんっ♬免許皆伝っ♬」









慶喜「よっぽど嬉しかったようだな」



松平「四月で免許皆伝だなんて…怪人か…」



慶喜「お前、絵美が来てからよく来るようになったな」



松平「未来から来た女だからな。色々と気になるんだ」



慶喜「仕事しろ、仕事」



松平「お前よりはやってる」



慶喜「………………」






絵美「あぁーーーーーーーー!」





そう言って指差した先にあった者は…




松平「何だ」





会津藩主、松平容保だった。




絵美「お久しぶりですね!」



松平「そうか?」



絵美「はい!前に近藤さんと会津藩邸を訪れた日以来ですよ!」



慶喜「そんな事はない。コイツは毎日のようにここへ訪れているからな」




絵美「え?そうなの?仕事して下さいよ〜!」




松平「しておる!言っておくがコイツよりは俺の方が仕事をしておる!」



そう言って慶喜を親指で指す松平。




絵美「まぁ、確かにね」




慶喜「それを言うな!!!」




絵美「あははっ!怒んないでよ〜!」




慶喜と松平公がこんなに仲が良いのはやはり従兄弟に当たる存在だからなのか。




正直そんな光景が羨ましく思えた。




絵美の両親は仕事人間なので親戚で集まることがあまりない為、従兄弟に会ったことがあるのは片方の手で数えられる程度。




兄弟もいない絵美には羨ましくて堪らないのだ。



絵美「ねぇ慶喜!私政に参加したい!」




この四月で名前呼びと敬語を使わないことを義務付けられた私。




慶喜は変わっているとつくづく思う。




松平「女が政に参加するだと?」



絵美「そう!私は未来から来たからきっと役に立つ筈よ!」



松平「役に立つだとかそう言う問題ではn…」




慶喜「まぁ、良いじゃないか!面白そうだ!」




絵美「ありがとう!あ、でも私は未来については何も言わないわよ?必要な時のみ教えるけど」



慶喜「分かっておる」




絵美「それじゃあ私は汗を流してくるから!じゃあね〜」




慶喜「一緒に入るか?」




絵美「何も聞こえませ〜ん」




慶喜「ケラケラケラケラケラ、愉快な奴だ」




松平「お前…まさかあの女に惚れてないだろうな」




慶喜「………だったら何だ」




慶喜がそう言うと松平は深い溜息を吐いた。




松平「あんなじゃじゃ馬のどこが良いんだ?免許皆伝だぞ?女なのに…。お前も物好きだな」




慶喜「…………………」




その後、慶喜は無言で松平を屋敷から追い出したのだった。




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