契りのかたに君を想ふ
そう言って私達は道場に来た。
土方「木刀で良いんだろう」
絵美「なんだって良いわよ」
土方は私の返事を鼻で笑うと構えた。
そして私達は同時に動き出した。
山南「あれは…甲源一刀流……」
藤堂「絵美は、神道無念流だったよな?」
永倉「アイツ…相当強くなってるな」
沖田「はい。それに皆さん気づきましたか?彼女、気配が無いんですよ。全く」
山崎「気配だけでなく足音もまるっきしない…」
原田「ありゃあ、相当二条城で厳しい稽古を積んできたんだな」
斎藤「副長と互角に戦えている。いや、あれはもしかすると副長よりも…」
土方「ほお?姫さんは暫く会わねえうちに随分と強くなったみてえだな」
絵美「そりゃあ、甲源一刀流免許皆伝を頂きましたからね」
土方「なにっ…!」
絵美「隙あり!!!!」
私はそう言うと土方の銅目掛けて竹刀を振り下ろした。
パァァァァン
絵美「やったぁー!」
土方「この俺が…負けた……」
山南「絵美、一体何故そこまで強くなったのですか?」
うんうん、と幹部一同首を縦に振った。
絵美「私、じっとしてられなくて二条城で剣術を習いたいって言ったんですよ。そしたら剣術以外にも忍術や乗馬、銃等の稽古を一日中やらされていたんです。そのお陰で先日、免許皆伝を頂きました!」
幹部「………………」
絵美「え、何で黙るの?」
斎藤「絵美、俺と手合わせしてくれ」
絵美「え、嫌だ」
斎藤「何故」
絵美「だって撃剣師範だよ?私殺されちゃう!」
斎藤「安ずるな。手加減はする」
絵美「それに私一試合して疲れてるの!」
斎藤「構わん」
お前はな!!
お前は構わないだろうな!!!
だが私は構う!!!!!
山南「そう言えば斎藤君も甲源一刀流でしたね」
近藤「面白い!始めよう!!」
絵美「…………………」
近藤勇よ。
あの日私に言った『お前のことは娘のように思っている』は嘘だったのですね。
父親なら娘が疲れているのを察して休ませろ!!!!!!!!!
そして山南さん、貴方まで。
絵美「だぁ!!!もう!!やれば良いんでしょう、やれば!!大体、帰ってきたばかりなのに幹部と二試合もさせるか!!!ここの男共はどいつもこいつも……ブツブツブツブツ」
藤堂「絵美、帰って来てから口調変わってると思うのは僕だけ?」
永倉「嫌、俺もだ。アイツはもっと可憐で清楚だった筈だ」
原田「まぁ、免許皆伝を取ってるくらいだ。女を捨てる勢いで稽古をしていたんだろ」
沖田「まぁ僕はどちらの絵美さんも好きですけどね」
藤堂「好き!?それはどういう好きだよ!!」
沖田「女の子として好きと言う好きですね」
藤堂「総司も絵美の事が好きだなんて…俺勝てる気しないな…」
沖田「一君や土方さんも絵美に想いを寄せてますからね」
藤堂「左之さんや新八さんもだよ…」
山崎「因みにわいもな!」
沖田「別に山崎君は敵視してないよ。だって君は仕事が忙しくてあまり絵美さんに近づくことがないからね」
山崎「そないなひやこい事言わんくてもええやろ!」
藤堂「俺もあんまり敵視してないな。問題は土方さんと左之さん!」
沖田「あの二人は組の中でも1、2を争うくらい女子から人気がありますからね」
藤堂「まぁ左之さんは頭が悪いから絵美が選ぶことはない」
沖田「分かりませんよ。いつ何が起こるか分かりませんからね」