ビジネスおネエの長谷川君
俺は、キッチンに注文を伝え、カウンター脇のスペースで、手早くドリンクを作る。


イチオシは、氷と共に茶葉を入れて、じーっくり抽出したアイスグリーンティーなんだけど、殆ど注文されない。


俺の自信作なのに。


いっそのこと、名前を『まったり冷緑茶』にしたらどうかと思う。


アイスグリーンティー、等という、軽い感じのネーミングから、このじっくり引き出した深い甘味は想像出来ないだろう。




このカフェ、ハミングクローバー(略してハミクロ、と言うと、どことなく響きが卑猥で、逆にお気に入り)

……は、雰囲気重視のオシャンティなカフェと、味重視の渋い喫茶店をいいとこ取りしたような、

いわば

『雰囲気もいいし、料理もそこそこ美味しい』

という、中々の店だ。


キッチン担当のやっさん(苗字の保田から来てるあだ名だけど、ヤサ男の意味を暗に含んでる気がする)が、俺より全然若いのに、ヤケに料理を作るのがうまい。
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