ビジネスおネエの長谷川君
勝手に運命を感じてルンルンな俺をよそに、藤浦さんは普通のテンションでワンプレートを受け取った。


……そりゃそうだ。


「ハルちゃーーーん、これ見てみてー!」


別のテーブルの二人組の客から呼ばれる。


ごめんね、と藤浦さんに片手をあげて、呼ばれたテーブルに向かう。


藤浦さんは特に名残惜しそうでもなんでもなくて、当たり前だけど何だか切なかった。


「なになにー?」


なんだよ、このタイミングでっ!!と思いつつ、そんな苛立ちは微塵も見せずに明るい声を出す俺。


結局、その二人組のしょーもない恋愛話を写メを見つつも付き合わされて、

「第一希望はハルちゃんなんだけどなぁ」

というどーしようもないアプローチをやんわりかわして、


……気が付くと、藤浦さんは居なかった。
< 62 / 198 >

この作品をシェア

pagetop