ビジネスおネエの長谷川君
「ぬか漬け、駄目な人っていますよね」


大分酔いが冷めてきたらしきやっさんが言う。


「あー、確かにね。酸っぱいし……俺は好きだけど」


「俺は、無理だったんス。どこのばばあのエキスが入ってるか分かんないじゃないですか」


仮にも食べ物を扱う仕事を生業にしているやっさんなのに、そんなことを言うのか……と意外な気がして。


やっさんは鼻息荒く続ける。


「だって、家庭によって味が違うとか言うじゃないっスか、手から何のエキス出してんだよ、っつー……」


「今は、平気なんだ?」


「ぬか漬けと同じく、よその母親が握ったおにぎりも同じ理由で苦手だったんスけど……。

彼女に怒られて、なくなりました。

そんな考え方するやつの作ったご飯なんて、きっと心が無くて美味しくない、とかなんとか言われて」


< 73 / 198 >

この作品をシェア

pagetop