ビジネスおネエの長谷川君
今日は、早上がりだから……


スタッフルームに掛けられた、やけにファンシーな時計を確認する。


午後6時半。


外は既に真っ暗。


季節は、どんどん冬に向かっているな、としみじみ……


いや、しみじみしてる場合じゃない!!


会いに行く、と決まったら急に胸がドキドキする。


いるかどうかも分からないけれど。


好きだとか好きじゃないとか言ってる場合じゃない。


とりあえず、俺は


『10年ぶりに会った同窓生に、おネエは誤解なんだ』


と伝えるだけだ。


それだけだ。



塩澤書店まで、走れば5分。


……いや。なにも走らなくてもいいか。



とにかく、とにかく。


俺は、スタッフルームを飛び出した。
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