ビジネスおネエの長谷川君
「かわいいスカートとかはかないの?あーでも、ゴツいかー?」


「いやいや。冗談だから。ほら、見てよ。ごくごくフツーの、サラリーマンだよ」


当時、テレビはおネエ系の人達が溢れかえっていて。


「なーんだ。流行りにのってカミングアウトかと思ったー!」



その後、連絡先を交換してすぐに別れた。


勿論、″一夜の過ち″が再び起きることはなく、ゆりあとはそれっきりになる…………と思っていた。


だから、つい、サラリーマンだなんて見栄を張った。



当時の俺は、先の見えない不安と苛立ちの中にいて。


在学時、就職活動をなめていて、全く決まらず……ギリギリで訳のわからない小さな会社の内定が出て、滑り込みでめでたく入社。


そして、何の思い入れもなかった為、しばらくして『俺の居場所はここじゃねぇ』とアツくなり辞めてしまって。
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