クールな彼の溺愛注意報





びくっとしてスプーンを落としそうになったあたしは、おどろいてふたりを見た。




「な……なにしてるの?」


「葵衣がテーブルの下で腕つねってくるんだよ」


「え。な、なんで?」




なんでそんな地味な攻撃を……。



柊木くんは腕をさすりつつ、二宮くんにあきれたように笑いかけた。




「こら~、葵衣くん。照れるのはいいけどそれを暴力に変換しちゃだめでしょ?」


「殴る」


「す、ストップ! 暴力はいけません!」




無表情でこぶしをにぎった二宮くんをあわてて止める。


向かいから身を乗り出し、勢いよく二宮くんの手をつかんだところで、はっとした。



あたしたちの顔の距離が、

……あまりにも近くて。



 
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