クールな彼の溺愛注意報
うわー! ふつうに話しかけちゃったよ!
しかも二宮くんもふつうに答えてくれちゃったし……!
ひとりで混乱して、文章にならない言葉ばかり発するあたし。
そんなあたしの口は、見かねたような二宮くんの手にふさがれた。
その手があまりに優しくて、
あたしはその一瞬でさらに混乱した。
「っ、……!?」
「……俺だって、話せる女くらいいるから」
二宮くんは無表情でみゆきにそう言うと、
あたしの口からぱっと手を離してひとりで教室にもどってしまった。
みゆきは、まだぱちぱちとまばたきを繰り返していて。
柊木くんはやれやれという表情で二宮くんの背中を見たあと、
みゆきの顔を、そっとのぞきこんだ。
「あんなやつでごめんね。葵衣、王子さまって言われるの苦手なんだよ」