クールな彼の溺愛注意報




不自然だったかもしれないけど、みゆきには気づかれていない。


あー、もう。

かくしごとは本当に嫌いだ。



廊下を引き返す前に、あたしはまた少しだけ5組をのぞいた。



窓際のうしろの席で、頬杖をついて音楽を聴いている二宮くん。


前の席にすわった柊木くんの言葉には受け答えしているけれど、あまり口を開かない。



教室内のいくつもの好意的な目には、気づいてるのかな。


きっと気づいてるよね。

迷惑だ、って思ってるのかな。



二宮くんが近寄りがたいオーラを発しているからか、誰も近づこうとはしていない。


遠巻きに見つめたり、はしゃいだりしてるだけだ。



みゆきといっしょに自分たちの教室へ向かいながら、


あの二宮くんの初恋の相手ってどんな子なんだろう、と漠然と考えた。





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