クールな彼の溺愛注意報
スマホをにぎりしめて幸せな気分になっていると、
下の階から同じ1年生の男の子が、段ボールを抱えて上がってきた。
その男の子の顔を見て、あたしは「あ」と声をあげる。
「安達(あだち)くん」
「え? あ、羽山さん。偶然だね」
段ボールから顔をのぞかせた安達くんは、あたしを見つけて笑った。
彼は同じ図書委員だ。
もの静かで知識が豊富な、本好きの男の子。
「それ、なに?」
「新刊が届いたんだ。今日の放課後にラベル貼りするから、いまのうちに図書室に運んでおこうと思って」
「え? 安達くんひとりで作業するの?」
「何人か誘えって言われたけど、放課後はひまだしひとりでやるよ」
そう言って、安達くんは眉を下げて笑った。