クールな彼の溺愛注意報
「安達くん、あたしも手伝うよ」
「そんな、いいよ。悪いし……」
「あたしだって図書委員なんだから。委員の仕事をするのは当然でしょ?」
安達くんひとりだけに作業させるわけにはいかない。
なりゆきとはいえ、図書委員になったからにはまっとうしなくちゃ。
あたしの言葉に、安達くんは頬を染めてうれしそうに「ありがとう」と言った。
「じゃあ……放課後、図書準備室でやるから」
「わかった! 運んでくれてありがとう」
階段をのぼっていく安達くんを見送り、あたしもスマホをしまって教室へ向かった。
梅雨のせいで湿気が気になる。
くせ毛じゃないからまだましだけど、束ねておこうかな。
髪をさわりつつ、廊下を歩いていると、教室からみゆきが出てきた。
「あ、紫乃ちゃん! おかえり~。遅かったね?」