クールな彼の溺愛注意報
「友だち思いなのはいいけど。いまは他人より、自分のこと考えたほうがいいんじゃないの?」
その言葉に顔を上げると、もうすぐあたしの家だった。
どき、と心臓が緊張に似た音を立てる。
「って、あれ? 柊木くんの家って、こっち方面なの?」
「そうだよ。案外近いから、あのときばったり会っちゃったんだろうね」
あのとき……っていうのは同居がばれちゃったときのことか。
じゃあ、二宮くんの家もここから近かったりするのかな。
柊木くんたちは中学いっしょだったみたいだし。
もしかしたら、高校に入るまでに偶然会ってたり……?
「じゃあね。葵衣ももうすぐ帰ってくると思うから、がんばって」
「え、あ……うん。また明日!」
家の前について、歩いていく柊木くんに手を振る。
もうすぐ帰ってくるてことは、二宮くんはまだ家にはいないのか。
そのことにちょっとほっとしながら、あたしは家の鍵をあけた。