クールな彼の溺愛注意報
それに対してあたしは、やっとのことで「え?」とひと文字だけ繰り出す。
「荷物」
そう付け足すと、彼はひょいとあたしの手のレジ袋を一方的に引き受けた。
そしてノアのリアゲートをばたんと代わりに閉めると、平然と歩いていく。
まちがいなく、“羽山(はやま)”と表札のかかった、あたしの家へと。
ど、どういう、こと……?
いまだに動けないあたしを、ドアのそばまで来た彼が怪訝そうに振り返った。
「……入んねーの?」
は、入んねーの、って。
そりゃ、入りますけど。自分の家だし。
っていうか、そうじゃないって!
なんで立ち止まってんの?て顔で見られてるけど、それならあたしだって聞きたい!