クールな彼の溺愛注意報
ず、ずるい。
そんなこと言うなんて、反則だよ。
いまでさえ心がこんなにあわててるのに、
そんなこと言われたら、顔も見れないくらい意識しちゃうに決まってる。
どきどきが止まない心臓をなだめつつ、あたしはこくんと小さくうなずいた。
「っわ……わかった」
そう言うと二宮くんは安堵したような表情になって、あたしの手を放した。
それから、2階へと階段をのぼっていく。
あたしはそれを見送りながら、そっと自分の胸に手をあてた。
返事をせかされなかったのは、正直……ほっとした、かも。
断る気ならすぐに答えを返すけれど、
なぜかいまは……ごめんなさいって言葉が出てこなかったから……。
そんなことを考えていると、ふいに、二宮くんが階段の途中で足を止めた。