クールな彼の溺愛注意報




ず、ずるい。

そんなこと言うなんて、反則だよ。



いまでさえ心がこんなにあわててるのに、

そんなこと言われたら、顔も見れないくらい意識しちゃうに決まってる。



どきどきが止まない心臓をなだめつつ、あたしはこくんと小さくうなずいた。




「っわ……わかった」




そう言うと二宮くんは安堵したような表情になって、あたしの手を放した。


それから、2階へと階段をのぼっていく。



あたしはそれを見送りながら、そっと自分の胸に手をあてた。



返事をせかされなかったのは、正直……ほっとした、かも。



断る気ならすぐに答えを返すけれど、


なぜかいまは……ごめんなさいって言葉が出てこなかったから……。



そんなことを考えていると、ふいに、二宮くんが階段の途中で足を止めた。



 
< 193 / 371 >

この作品をシェア

pagetop