クールな彼の溺愛注意報
酔っていない二宮くんの口からあたしの名前が出たことに、なんだかどぎまぎしてしまった。
心なしかあせったように見える二宮くん。
あたしは首をかしげつつ、また昨日のことを思い返してみる。
「なにか言ってた気はするけど……うまく聞き取れなかったな」
「……そ、っか。よかった」
あせった表情がゆるんで、二宮くんは息をつくようにかすかに笑った。
その表情に、また、鼓動が響きだす。
ふいに見せる笑みは、ねらってるんじゃないかと思えてしまう。
2階にあがって見えなくなった二宮くんの姿に、あたしの意識はうばわれたまま。
心があったかくなったり、どきどきすることは多い。
けれどきっと……“好き”って表現するにはまだ未熟な気持ちで。
それでも、二宮くんに惹かれている自分がいるんだって、いまはじめて理解した。
「ほんとに顔、見れなくなったらどうしよ……」
熱のひかない頬を手の甲でさわり、あたしは小さくつぶやいた。