クールな彼の溺愛注意報




見ちゃ、いけない。

直感的にそう思ったとき、またスマホがバイブしはじめる。




【葵衣くん、優しいねっ】




目をそらす前に、そのハートが飛んでいる文章を、うっかり読んでしまった。



一瞬フリーズしたあたしは、

リビングのドアが開く音に、またどきっと心臓を跳ねさせる。


ただし、さっきとはまったくちがう意味で。



リビングにもどってきた二宮くんに不審がられないように、そそくさとキッチンへ引き返した。



そこで紅茶の用意をしながら、

テーブルのスマホを手に取る二宮くんを、さりげなく見つめる。



……無表情だ。


指を動かしてるから、きっと返事を打ってるんだろうけど。



なに考えてるんだろう……。

名前で呼ばれてるのとか、ハートマークとか、どう思ってるんだろう。



 
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