クールな彼の溺愛注意報
葵衣はあたしから視線をそらして、そっと名前を呼ぶと、
赤くなってすぐに家の中に入ってしまった。
ドアを開けたままにしてくれているところがやっぱり紳士だ。
「……っかわいすぎだよ」
たった3文字に緊張して、
たった2文字にきゅんとする。
あたしの名前を呼んだ彼の声が、頭の中でリピートされる。
不可抗力でゆるむ口元。
こんなに胸がときめくのは、相手がほかでもない葵衣だから。
――好き。
また声にせずにつぶやいて、あたしも軽く感じる足で家に入った。
外から向けられていた誰かの視線には、
少しも、気づかないまま。
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