クールな彼の溺愛注意報
でも、大学なんかより妹のほうが大事だろ。
バイクのスタンドを展開させ、気取るようすもなくさらりとイケメン発言をする拓海くん。
途中まで通学路が同じなので、最近は毎日このふたりと帰っている。
ふたりを見るたびに、きょうだいがうらやましく感じる。
みゆきも邪険にしているように見えるけど、じつはそこまでいやがってないしね。
「拓海くんはみゆきのこと、すっごく溺愛してるよね」
「みゆきだけじゃなくておまえもだから」
ほ、ほんとにさらっと言うなぁ……。
ちょっとどきっとしながらも、「ありがとう」と軽く笑った。
自分で“溺愛”なんて言葉をつかってしまったせいだ。
拓海くんが言っているのは、あたしも妹みたいな存在だってことだし。
けれどみゆきは、むっとしたように拓海くんを見上げた。
「拓海くん、紫乃ちゃんをくどくの禁止っ! 紫乃ちゃんには二宮くんがいるんだから!」
……なっ、なにを!?