クールな彼の溺愛注意報




おだやかな笑顔を浮かべていた拓海くんが、とたんに真顔になった。



わあああっ、なに言ってるの!?

拓海くんにはその名前は出しちゃだめだよ!



やばい!とあわてふためくあたしに、拓海くんがかたい声で「紫乃」と呼んだ。




「は、はい……っ?」


「おまえ、二宮葵衣と付き合ってんの?」


「つ……付き合ってないよ! ただの同居人!」




そりゃ、葵衣から告白はされたけど!

あたしも……好き、だけど……!



心の中でそう付け加えながら、あたしは両手をふって否定した。


拓海くんは少し目をほそめて、あたしを見る。




「……ならなおさら、問題だろ」


「え……」


「もしものことがあったとき、あいつが責任もっておまえを守れるとは思えない」



 
< 236 / 371 >

この作品をシェア

pagetop