クールな彼の溺愛注意報
おだやかな笑顔を浮かべていた拓海くんが、とたんに真顔になった。
わあああっ、なに言ってるの!?
拓海くんにはその名前は出しちゃだめだよ!
やばい!とあわてふためくあたしに、拓海くんがかたい声で「紫乃」と呼んだ。
「は、はい……っ?」
「おまえ、二宮葵衣と付き合ってんの?」
「つ……付き合ってないよ! ただの同居人!」
そりゃ、葵衣から告白はされたけど!
あたしも……好き、だけど……!
心の中でそう付け加えながら、あたしは両手をふって否定した。
拓海くんは少し目をほそめて、あたしを見る。
「……ならなおさら、問題だろ」
「え……」
「もしものことがあったとき、あいつが責任もっておまえを守れるとは思えない」