クールな彼の溺愛注意報
1ヶ月ちょっとしかいっしょに過ごしていないけど、胸をはって言える。
「じゃあ、ふたりともまた明日ね。気をつけて!」
「紫乃ちゃん、ばいばい!」
「……夜は出歩くなよ」
仕方なさそうな拓海くんの言葉に笑顔でうなずき、手を振った。
まだ納得はしていない感じだった。
過保護な兄っていうのも、けっこう大変なのかもしれない。
でも大切に思ってもらえてるのがわかるから、やっぱりうれしい。
「拓海くんも、いつかわかってくれるといいな」
ぽつりと小さな声でつぶやいて、ひとり通学路を歩いていく。
ひと気のない道路に差しかかったところで、
ふとなにかを感じた。
人の気配、というか……視線を向けられてる気がした。
いったん歩をとめて、数秒後、ゆっくりと振り返ってみる。