クールな彼の溺愛注意報
そうあいまいに笑い、玄関のドアに鍵をさしこんだ。
葵衣はあたしのうしろから、「なんとなく?」といぶかしげに言葉を繰り返す。
や、やっぱりあやしまれますよねー!
なんでもっと上手にごまかせなかったのあたし!
だからかくしごとは苦手なんだよ……!
へんな心配はかけさせたくないし、なにもたずねられないように、すぐに家に入ろうと決めた。
鍵をあけて、バーハンドル式の玄関ドアをにぎる。
そのまま開扉しようとしたけれど、
その前に、上からぎゅっと、ドアごと手を覆うようにつかまれた。
触れた大きな手と、すぐうしろに感じる存在に、いっきに体温が上がる。
「紫乃。……なんか、かくしてる」
疑問形じゃなかった。
完全に確信した声が耳に直接流し込まれ、ふたつの意味で心臓が大きく飛び跳ねた。
ち、近すぎる……っ!
ぜ、絶対これ、効果がわかってやってる!!