クールな彼の溺愛注意報

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窓から差し込む朝日に、コーヒーの湯気が透けて消える。


こくんとひと口飲んで、あたしは向かいの葵衣を見た。



なんだか……今朝はようすがおかしい。

ずっと、なにか考え込んでるような表情だ。




「葵衣?」


「……ん?」


「なにか、なやみごとでもあるの?」




たずねてみると、葵衣は静かに視線を落とした。


そして紅茶の入ったカップを手に取り、小さく息をつく。




「おまえの友だち……小川、だっけ」


「みゆき? うん、そうだよ」


「最近、あの男に送迎してもらってるよな?」




あの男……というのは、拓海くんのことだよね。


バイクで送迎はけっこう目立つもんな~と思いながら、問いかけにうなずいた。



 
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