クールな彼の溺愛注意報




「そうだけど……なんで?」


「……いや」




あきらかに、なにか言いかけていたのに。

葵衣はなかば無理やり会話を終了させて、カップに口をつけた。



なにか、まよっているような顔だった。


あたしもだいぶ、葵衣の表情の変化にくわしくなった気がする。



なにを考えているかまでは、やっぱりわからないけれど……。




「……じゃあ、あたし先行くね? 鍵お願いします」




先に朝食を終えて、ソファーの近くに置いていたかばんをつかむ。


葵衣に声をかけ、リビングを出ていこうとしたら、「待って」と呼び止められた。



リビングのドアを開いたまま、あたしは葵衣を振り返る。




「どうしたの?」


「……あのさ、」



 
< 247 / 371 >

この作品をシェア

pagetop