クールな彼の溺愛注意報
首をかしげて、葵衣の言葉のつづきを待った。
けれど数秒してから、葵衣は気まずげにあたしからふいと視線をそらした。
「やっぱり、なんでもない……」
「ええっ!? 言ってよ!」
昨日は……か、壁どんとかして、あたしにかくしごとゆるさなかったくせに。
自分だけ秘密を話さないなんてずるい!
むーっとした顔で葵衣をにらむ。
いっこうにリビングから出て行かないあたしに、葵衣は自分の黒髪をくしゃ……とさわった。
「今日だけ。……いっしょに、登校したい」
「えっ!」
「……べつに、無理ならいいけど」
ちょっと赤くなって、葵衣が食器をキッチンへと持っていく。
いっしょに、登校?
人気ナンバー1の王子さまとなんて、
もしかしたらうわさになっちゃうかもしれないけど……
でも!
「いっしょに行くっ!」