クールな彼の溺愛注意報
思わずキッチンまでもどって、食器を流しに置いた葵衣にそう答えた。
葵衣はちょっとおどろいたように、目をしばたかせる。
「いいの?」
「うんっ。もちろん!」
こんなうれしいさそい、断れるわけがないよ。
最近、葵衣との心の距離がどんどん近づいてるって、そう思ってもいいよね?
「かわいすぎ……」
うれしくてつい音符をとばすあたしを見て、口元をかくした葵衣が小さな声でつぶやいた。
「え? なんか言った?」
「なにも、言ってない。行こ」
かばんを持った葵衣に手をひかれて、ふたりでリビングを出た。
ふつうにあたしに触れる葵衣に、ちょっとどきどきする。
こんなふうに触れる女の子は……あたしだけ、だといいなぁ。