クールな彼の溺愛注意報
家に鍵をかけて、いつもはひとりの通学路をならんで歩く。
新鮮っていうか、どきどきするけど、心地いい感覚だ。
「それにしても、ずっとべつべつで登校してたのに、なんでいきなりいっしょに?」
「昨日、だれかにつけられてたんだろ? 朝は大丈夫とはかぎらないし」
「つけられてたのかはわかんないけど……そっか。でも、今日限定なんだよね?」
そう確認したら、葵衣はまた気まずげに口をつぐんだ。
リビングでも見た、まよっているような表情。
言うのをためらっているみたいだ。
うーん……葵衣ってもしかして、秘密主義?
あたしの視線を避けるようにして、葵衣は少し歩くペースを上げた。
「かくすわけじゃないけど……今日じゅうには、言うから」
そう言った葵衣は、こころなしか、思いつめたような表情に見えた。
すぐに顔をそらされたから、わからないけれど。
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