クールな彼の溺愛注意報
「話ってなんだ?」
拓海くんがかたい声で、葵衣に単刀直入にたずねかける。
警戒するように目を細めて。
も、もうちょっとおだやかな声で話せばいいのに……!
拓海くんの問いかけに、葵衣は少しうつむいてだまりこんだ。
また……今朝と同じ表情だ。
なにをまよっているのか、なにを言おうとしているのか、わからない。
「葵衣……?」
どうしてそんな顔をするんだろうと思って、名前を呼んだとき。
ふいに、葵衣に腕をつかまれた。
おどろいたあたしのことは視界に入れず、葵衣は意を決したように、拓海くんをまっすぐ見すえた。
「紫乃のこと……。しばらくのあいだ、泊めてやってほしい」
真剣な声音で放たれた言葉に、思考がいったん停止した。
なっ、なに言ってるの?
泊めてやってほしいって、どういうこと……?