クールな彼の溺愛注意報
どうしてそうなったのか、いきなりすぎてまったく理解できない。
「は……?」
拓海くんも葵衣のたのみごとに、虚をつかれた表情を見せた。
けれどあたしは、ふと今朝からの葵衣の態度を思い返した。
もしかして葵衣は……ずっとそれを言おうとしていたの?
“今日限定”でいっしょに登校したのも、
あたしを拓海くんたちの家に泊まらせようとしてたから?
拓海くんは混乱したままのあたしを気遣うように見てから、また葵衣に視線をもどした。
「しばらくって、どれくらいだ?」
「なるべく……はやく、」
不自然に言葉を切り、葵衣はぱっとあたしの腕から手を離した。
その瞬間、その手をつかんで引き止めたくなった。
心の中を支配する、さみしさと、そして……
「……とにかく、いまは紫乃のこと、頼みたい」