クールな彼の溺愛注意報
「みゆき……ごめんね。迷惑かけちゃって」
「ううんっ、迷惑じゃないよ! 紫乃ちゃんがお泊まりに来てくれてすごくうれしいもん!」
にこにこと笑顔でそう言ってくれるみゆき。
マイナスイオン放出しまくりだ。
みゆきの天使スマイルにいやされながらも、やっぱりいまの状況は腑に落ちない。
葵衣との同居生活はあと1ヶ月もないのに、どうしてこんなことになったんだろう。
“しばらく”って、“なるべくはやく”って、いったいいつまで……?
もやもやした気持ちでみゆきを離すと、こんこんとドアがノックされた。
「紫乃、いいか?」
「え、うん?」
応えると、かちゃ、とドアが開いて拓海くんが顔をのぞかせた。
その手には、紺色のジャージ上下が。
「たぶんぶかぶかだろうけど。いちばん小さいやつだから」
「あ、ありがとう」
「……あと、紫乃。二宮葵衣の連絡先、聞いていいか」