クールな彼の溺愛注意報




それから夕食を終えて、はやめにお風呂に入らせてもらった。



自分の家とはちがうシャンプーのにおい。

思ったとおり、拓海くんのジャージはぶかぶかだった。




「……ああ」




タオルを頭にかぶせたまま廊下を歩いていると、

みゆきのとなりの部屋から、かすかに拓海くんの声が聞こえてきた。



たしかこの部屋は、お客さん用の和室だったはず。




「紫乃のことは、心配しなくていい」




ふいうちであたしの名前が出て、どきっと肩が跳ねた。



拓海くんの声しか聞こえないし……もしかして、葵衣と電話してる?


みゆきの部屋へ向かっていた足が、ぴたりとその場で止まった。




「ま、俺にとっては好都合だけどな。はやく見つけ出せよ。
紫乃はおまえと離れてすげーさみしがってるから」




なっ……!

拓海くん、なんの話してるの!?



 
< 259 / 371 >

この作品をシェア

pagetop