クールな彼の溺愛注意報
悲しいのか怒りたいのかわからなくて、その場に立ち尽くすしかできない。
そんなあたしに、拓海くんは「あとひとつ」と人差し指を立てた。
「『ただし、“約束”は例外』……らしいけど」
そう告げると、拓海くんはあたしの横を通り、リビングへ向かった。
“約束”。
その言葉に、葵衣に耳打ちされた言葉がよみがえる。
「なに、それ……」
悲しさ、怒り……さみしさ。
いろんな感情がない交ぜになって、心の中をぐるぐるとうずまく。
けれどシンプルな気持ちを言うとしたら、
……葵衣に会いたい。
ただ、それだけだった。
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