クールな彼の溺愛注意報
・キミのいない生活
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葵衣とべつべつに生活しはじめてから、1週間ほど経った。
いつもどおり登校したあたしとみゆきは、3階の教室へは行かずに、図書室に向かう。
2階の端にたたずむ目立たない図書室は、
1週間前から、あたしのかくれ場所となっていた。
「毎回ごめんね……安達くん」
「あやまらなくていいよ。羽山さんも大変だろうしね」
図書室の鍵を持った安達くんが、入り口付近で眉を下げて笑った。
そう。
1週間前……
葵衣と最後に話した次の日から、あたしは大変な目に遭っていた。
「【女嫌いな王子についに彼女が!?】……だって~」
壁に貼られた学校新聞の見出しを読み上げるみゆき。
あたしはそれを聞いて、重いため息をついた。
あたしは葵衣の彼女じゃない。
彼女なんかじゃない、けど……。
「王子さまとふつうに接してたら、そりゃうわさになるよね……」
ぽつりとつぶやいて、あたしはパイプいすに座り込んだ。