クールな彼の溺愛注意報




それは少し、皮肉をふくんだようなせりふだった。




「なっ……にすんだてめえ! ふいうちは卑怯だろうが!」




青メッシュの人はばっとすぐさま起き上がると、怒号して柊木くんに飛びかかった。



でも、勢いよく飛んでくるこぶしを、柊木くんは軽々と避けた。


それから青メッシュの人の右腕をつかみ、グイッとうしろにひねり上げる。



ドラマや映画なんかでよく見る逮捕術だけど、まさかハンマーロックをこんなきれいに決めるとは……。



感心というよりはあ然として見ていると、

柊木くんが冷たく口角をあげたから、やばいと思った。



いままで何度も見た、おそろしい笑顔だ。




「卑怯? ねえ、それどの口が言ってんの?」


「う、ぐ……っ」


「女の子を巻き込むような愚劣なやつが、言っていいせりふなの?」




苦痛に顔をゆがめる青メッシュの人に、冷笑して辛辣な言葉を投げつける柊木くん。



そのとおりなんだけど、怖すぎる。

口元は笑ってるのに、目はまったく笑ってないし。



っていうか、めっちゃ怒ってるよ!



 
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