クールな彼の溺愛注意報
あたしはおどろいて目を開き、葵衣を見上げた。
でも、すぐに顔を伏せる。
目頭が少し、熱くなったから。
「なに、それっ……。葵衣から離れていったくせに」
「うん、ごめん。でも、紫乃は目を離したほうが危険だって知らなかったし」
「ひ、人を子どもみたいに……」
ちょっとすねた声でつぶやいたら、なぐさめるように抱きしめられた。
今度は、ちゃんと正面から。
「っていうのは、半分嘘で……。ほんとは、紫乃がいないと俺が無理だった」
「……っ」
「紫乃も……さみしかった?」
耳元でささやかれて、きゅっと胸が締めつけられた。
さっきからどきどきしっぱなしで、心が落ち着かない。
ここで素直に答えるのがなんだか癪で、あたしはなにも言わずに葵衣の胸に頭をあずけた。
「紫乃。……だまってるの、ずるい」
「……葵衣のほうが何倍もずるいもん」
「俺はずるいことなにもしてないじゃん」