クールな彼の溺愛注意報
してるよ。
葵衣が思ってるよりずっと、あたしはどきどきさせられてるのに。
無自覚なところが、やっぱりみゆきに似てる気がする。
でもそんなことは口にできず、あたしは顔をあげた。
「葵衣、そろそろ電気つけ……」
「だめ。その前に……俺はいつまで待つの?」
「え?」
「けっきょく紫乃の気持ち、聞きそびれたままなんだけど」
あ、そ、そうだった……!
そういえばあたし、“す”しか言ってなかったっけ!
すっかり忘れていたあたしに、葵衣がため息をついた。
「なんで忘れるんだよ」
「ご、ごめん。でも、もう言わなくても……」
「紫乃」
甘い考えをしかるように、葵衣があたしの名前を呼ぶ。
そしてそっと、あたしの頭にやわくキスを落とした。
「……はやく好きって、言って……」