クールな彼の溺愛注意報




「っ……」




なんで、そんな甘い声が出せるの。

これでわざとじゃないなんて、たちが悪すぎにもほどがある。



心臓がもちそうにない、と思いながら、あたしは目をつぶった。




「――好き……」




指定された言葉に自分の想いをのせた、小さな告白。



“好き”って、こんなに緊張する言葉だったっけ。


そんなことを考えたとき、葵衣が少し動いて、ドアの近くの電気をぱちっとつけた。




「って、むはんの……んっ」




無反応?と言いかけた声が、

優しく触れた、葵衣の唇にはばまれた。



明るくなったリビングで、葵衣の綺麗な顔がはっきりと視界に映る。



ま、まつげ長すぎ!

って、そうじゃないから!



心臓が爆発しそうになって、あたしは思わず身を引いた。




「ん、ちょっと、まっ……」


「やだ。……待ちたく、ない」




あたしの必死の止めを、かすれた声で拒否する葵衣。



ほ、本当に心臓もちそうにないって……っ!



 
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