クールな彼の溺愛注意報
「嘘。……紫乃といっしょに、いたいから」
そんな都合のいい言葉でだまされない。
と言おうとしたけど、葵衣がちょっと赤くなって顔をそむけたから、やっぱりなにも言わないことにした。
……かわいいから、ゆるす。
それにあたしも、葵衣といっしょにいたいし……。
「んっ……つつ」
「わりい、痛かった?」
「ううん。大丈夫」
ちょっとぴりっとしただけだ。
軽く笑って首を振ったあたしを、なぜか葵衣がじっと見つめてきた。
視線にどぎまぎしていると、ゆっくりと頬に手をのばしてくる。
髪から頬にしたたった水滴を、長い指がそっとぬぐった。
「……髪、濡れたままじゃん」
「あっ、うん。もうすぐ夏だし……」
び、びっくりした。
キスされるのかと思った。