クールな彼の溺愛注意報
あたしはあきらめてソファーから立ち上がり、なにげなく左手を見つめた。
わ、すごくていねいに巻かれてる……。
「……やっぱ、痛む?」
下から問いかけられ、あたしは葵衣を振り返る。
葵衣は帰りのときと同じように、表情をくもらせてあたしを見ていた。
誤解させちゃったみたいだ。
「ぜ、全然!? まったく大丈夫!」
「そんなわけ、ないだろ」
ち……ちょっと不自然だったかもしれない。
葵衣はすっと立ち上がると、あたしの左手をゆっくり手に取った。
「紫乃」
「は、はい」
葵衣が少し目を細めて、真剣な表情を見せる。
「……もし紫乃の手に跡がのこったら、俺が、責任とるから」
えっ……?
その言葉を、あたしはすぐに理解することができなかった。
跡がのこったら、責任、とるって……。
もしか、して……
そ、そういう意味!?
あたしはびっくりして、かあっと顔を真っ赤にさせた。