恋、しちゃいました。
奏、めちゃくちゃ悔しそう。
それから、早瀬がラケットを持っていないということで、俺のを貸すことになった。
手渡すと、顔を上げてぽかんと俺を見た。
え、このラケットが気に入らなかったのか。
そう思ったのも束の間、すぐに笑顔になってお礼を言ってコートにたった。
なんだったんだろう…。
試合が始まった時、打ち方や動き方で
早瀬が経験者であることを悟った。
同時に、かなりのレベルであることも。
早瀬って、女バドにいたっけか?
そんなことを思ってたら、10対8であっちのマッチポイントでピンチを迎えてた。
チラッと早瀬を見ると、かなり焦ってる顔をしてた。
大丈夫なのかよ、ガチガチだし。
そう思った俺は
「大丈夫、俺がついてる。」
と、声をかけてみた。
すると、少し驚いたような表情を見せたが、
すぐに真剣な顔に切り替わった。