いつも恋して・・・
梨佳子は電話を切った後、


『どうしよう・・・』


自分にできる事なら・・・電話ではそう思って承諾はしたものの、


事の重大さに少し震えていた。


『その上、会長も廉もいる・・・』


梨佳子は張り詰めた廉への気持ちと緊張で震えが止まらなかった。


やっと気持ちの整理をして、もう2度と会わないでいようと思って出発するはずだったのに・・・


こんな形で、また・・・


『廉と顔を合わせる勇気がない・・・涙を見せない自信がない・・・』


この悪戯な状況を恨みたくもなった。


梨佳子はグッとお腹に力を入れて自分を押し殺し、


『秘書の時の山内梨佳子を演じよう!!』


今の自分ではなく、強い山内梨佳子の仮面を着けてロビーに下りた。



エレベーターを下りてロビーの方へ向かう途中、松井が走り寄って来た。


「山内さん=3」


松井が到着した時には震えは止まっていた。


松井が梨佳子を車のほうに案内しながら細かな説明をし始める。


梨佳子の表情は会社にいた時と同じ芯の通った凛とした顔になっていた。


「山内さん・・・何とかなりますかね(>0<;)」


松井は会長の秘書ではなく、元先輩に話す口調に変わっていた。


「分からない・・・でもやってみないと(-0-;)」


梨佳子到着までの間、今にも出て行きそうなスミスを会長は必死でなだめた。


廉はスミス夫人をなだめていた。



トントン゛



大騒ぎの中会議室のドアが開いた=3


会議室の中の全員がドアの方を振り向いた・・・
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