いつも恋して・・・
トントン“



廉の部屋をノックして、




「社長がお呼びです。」



目を合わさないように、業務的に伝える。




立ち上がった専務を見たら襟は少し出ていてネクタイは曲がって・・・




全く締まりのない格好だった。




(; ̄_ ̄)=3




『あ~~ぁネクタイもまともに絞められないのか・・・』





「専務・・・少し失礼します。」




廉の首元に手を回しネクタイを結び直し襟を正しシャンとさせ、




急に手を回してくる梨佳子に少し焦りながらも、されるがままジッとしている。





梨佳子は先に会議室に向かい、続々と集まってくる重役達の前に資料を配り始めた。





昨日廉に資料を渡したにもかかわらず、あの時間からでは多分目を通すのがやっとだろう




と廉の資料にだけ書き込み入りの物を置いておいた。




廉は入口で軽く一礼をし、凛とした姿勢で社長の後ろを歩いて会議室に入って来る。




席の前に立って一礼をして着席し、




自分の目の前の資料を見て、用事を済ませて退室して行く梨佳子に目をやった。




梨佳子は廉の事が気になりながらも通常業務をこなす。




♪~♪~




「終わったぞ~片付け頼むな~」




廉のお披露目初舞台は無事終了したと、秘書課長から報告があった。



「よかったぁ(^_^;)」



内心冷や冷やしていた梨佳子は受話器を置くと同時に小さい声で呟く。



「あ~~~~疲れた(´A`)」




ネクタイをウザそうに緩めながら廉は帰って来た。




梨佳子は横を通る専務に目を合わす事もなく仕事の手を休めなかった。





専務室に入った廉は外に聞こえてくるくらいの音を立ててソファーに大の字に座った。



ウキウキ秘書は、ここぞとばかりに廉にコーヒーを持って専務室に入って行く。
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