ツンデレ君の虜。【完】
「今日は何?デート?」



「デートってか…彼氏なんて今まで一度もできたことないけど。」




私はそう答えながらできたおにぎりを片手に歩く。





「へぇ~できたことないんだ?」




雛の元へと向かっているのだが…




しつこく高山がつきまとってきている。





「で…高山は?家族と来たの?」





「一人だよ~?だって僕、一人暮らしだし。」





「え?!な、なんかごめん…」




私が謝ると高山は気にしないでと笑い





「僕、こっちに一人暮らしするために引っ越してきただけだし。」




…とそう告げた。




…へ?





「高山って…転校生なの?!」





「え~今頃?」




そうクスクスと笑う高山。





「昨日は見学に来てたんだよ。それと…楽しみも見つけに来てた。」




そう言うと高山はニコリと笑い





「まぁ図書館にいたおかげで楽しみも見つけれたかな~」





…それって私のことか?と思いながらもへぇと相槌を打つ。





「じゃあこれからよろしくね!」





私は気持ちを変えて手を差し出した。





…握手のつもりだった。





しかし高山は私の手をとると…手の甲に口付けを落とした。






その様子を呆然として見る私。






「え、あの…」






「じゃあよろしくね。」






そう言い笑う高山は…確信犯だった。





去っていく高山の後姿に






「バカ野朗…!!」






と叫ぶ私だった。
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