ツンデレ君の虜。【完】
というわけで…



ただ今、絶賛注目され中です。







「だから嫌だったのに…」




満員電車の中で呟く私。




人がいっぱいのせいでもあるが…視線を感じるったらありゃしない。




そりゃあ隣にこんなかっこいい人がいたらね?!





それに…




「いつもこんなに人がいるの?ぎゅうぎゅうじゃん。」




そんな彼の吐息が耳元にかかる。




それくらい私と高山の距離は近いのだ…!!




電車が揺れるとすぐに肩が触れてしまう。




それだけでドキドキしてしまう私。





そのことだけでいっぱいいっぱいで…







私は周りの人のことをよくは見ていなかったのだ__













「ひどくお疲れのようだね~?」




電車を出ると同時にそう聞いてくる高山。





「いや…いつもはここまで疲れないんだけどね…」





そう言いあはは、と笑う私。





そんな会話をしていた時だった。








…あの声が聞こえてきたのは。








「槙谷…」



2日ぶりに聞いた…あるヒトの声。




私は急いで振り返った。




そこにいたのは……岬。





「岬…」





しかし岬の目の先には…




「奈留サーン…?この人誰?」




高山が、いた。






しかし岬は何かから解けたようにハッとすると




「…なんでもねぇ。」




そう言い私の横を通り過ぎて行った。




…何も言わずに。





「そう、だよね…」





私、何考えてたんだろう。





やきもちなんて焼いてくれるわけないでしょ?





そんな都合のいい話…あるわけないじゃん。








私って…ほんとバカ…





「……」



そんな私の様子を、高山は黙って見つめていた。
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